標本家から聴かされた『昆虫減少』という現象に興味を持ち、Web検索したところ「環境省レッドリスト2020」が目に留まりました。延べ131ページに及ぶこのリストの一覧には絶滅種4種、絶滅危惧種367種、準絶滅種351種、情報不足153種が掲載されていました。動物のレッドリストは特集番組やニュースなどで知っていましたが、昆虫の世界にも同様のリストがあることは驚きであり、初めて知りました。例えば子供のころ目にしていたゲンゴロウやオオクワガタが絶滅危惧種に登録されていました。
では昆虫が減少し、絶滅していくとどのような弊害が生じるてくるのか。①昆虫による受粉活動への影響。果実などの結実や花の開花に障害。②昆虫を捕食している昆虫や鳥の餌が減少。さらにこうした昆虫や鳥を餌にしている動物の餌が乏しくなる。いわゆる食物連鎖が続かなくなっていく。③害虫を捕食している益虫の減少。食物の生育に影響が出てくることになります。まさに農業従事者にとって深刻な事態です。
しかも一気にこうした状況が現れず、徐々に変化していくので気づかないうちに深刻な事態を迎えることになってしまう。いわゆる「シフティングベースライン現象」に陥ってしまうのです。ではなぜこのような事態を招いてしまうのか。その原因は何か。後日に触れていきます。